以前投稿したブログ「安い物件はなぜ安いのか」から築年数のことを書いていました。今回はこのことをもう少し詳しくふれてみたいた思います。
日本の家寿命は約30年と言われています。対してフランスは約85年・アメリカ90年・イギリス約140年と日本の倍以上です。「木造住宅だから」と思うかも知れませんが、意外とアメリカでも木造住宅が多いんですよね。本来、 日本の木造住宅も大切に手入れしながら使えば80年は持つと言われています。では、なぜ日本の家寿命はこんなに短いのでしょうか?
【家寿命】とは家が使えなくなる年数のことではありません。家を取り壊している年数のことを言います。つまり、まだ使える家なのに取り壊して新築の家を建てているということです。
①戦後の日本(終戦1945年)
戦後の日本はとにかく復興を急いでいました。全国的に家が足りなかったこと,また新築着工が日本の産業につながると法整備がままならないままに、どんどん建築を進めてしまいました。その結果、品質の良いとは言えない建材を使って安さ重視の住宅が日本中に増えてしまいました。そんな家が長持ちするはずもなく「中古物件=質が悪い」というイメージがつき、「家を使い捨てる」という文化が定着してしまいました。
②リフォームしずらい
一つの家に長く住み続け家の価値を高めていく欧米は、リフォーム・メンテナンス費用が日本の倍以上と言われています。対して日本の住宅工法は間取りの変更などの増改築が難しい作りになっています。子供の誕生・独立・退職など家族の過ごし方は時とともに変化するのが当然です。しかし 拠点である住まいが変化に対応することができないので、結局「家を使い捨てる」ということになってしまうのです。
これは欧米の家はメンテナンスを続けることで資産価値が上がることもあるのに対して、「日本は家の資産価値は20年でなくなる」とされているのも大きな原因の一つです。
③耐震性の向上
日本で地震が発生しないところはありません。規模や頻度の違いはありますが、全国どこでも発生します。そのため地震に強い家が求められ、新しい家ほど耐震性能が向上しています。
1950年 「建築基準法」が制定
1978年 宮地沖地震(マグニチュード7.3・震度5)により、耐震基準の見直しがされる。
1981年 「新耐震基準」が制定
1995年 阪神淡路大震災(マグニチュード7.3・震度6)で再び耐震基準の見直しがされる
2000年 新耐震基準の一部改正が行われ「2000年基準」が制定
建築基準法:震度5程度の地震でも建物は倒壊せず、一部破損しても修繕によって継続して生活が可能な構造建築
新耐震基準:震度6強から7程度の地震でも建物が倒壊しないような構造建築
2000年基準:新耐震基準に沿ったものをさらに地盤に合わせて基礎を作るようにした
上記の改正により新築物件はより安全になり、中古物件はそれらを満たしていないのでリスクが高いと避けられてしまうのは仕方がないことかも知れませんね。
④これからの日本物件
ところが最近になって、日本でもようやく「作っては壊す」住宅を止めようという動きになっています。
2009年 「長期優良住宅」とは国が定めた基準をクリアした住宅のことです。基準には耐震性・劣化対策・維持管理・省エネルギー性などの項目があります。申請して認定を受けると「認定長期優良住宅」となり、減税や住宅ローン金利の引き下げなどの優遇を受けることができます。
まとめ
以前調べた「安い物件理由」の中に「築年数40年以上」というものがありました。40年以前というと、ちょうど「新耐震基準」が制定される前の物件ということになりますね。安くなるのも納得の理由です。
地震大国の日本は欧米と同じようなスタイルはもしかしたら難しいのかも知れません。それでも、何事もない限りは「親から子へ 子から孫へ」と受け継いでいき『家=資産』となればいいですね。
おしまい。